診療案内
更年期・老年期外来
更年期のお悩み、
一人で抱えていませんか?
「最近、理由もないのにイライラしたり落ち込んだりする」
「急に汗が吹き出したり、のぼせたりしてつらい」
「閉経を迎えてから、からだのあちこちに不調が出てきた」
40代半ばから50代半ばにかけての「更年期」、そしてその先の「熟年期」は、女性のからだを支えてきた女性ホルモン(エストロゲン)が大きく減少する時期です。
この変化は、すべての女性に訪れる自然なステップですが、現れる症状やそのつらさは人それぞれ異なります。「年のせいだから」とひとりで我慢せず、これからの人生をあなたらしく、快適に過ごすためのケアを一緒に見つけていきましょう。
01
「更年期」のサイン:こんな症状で悩んでいませんか?
更年期の不調は、自律神経の乱れや心の状態、環境の変化(家族や仕事の環境変化など)が複雑に絡み合って起こります。
代表的な更年期症状
血管運動系の症状
のぼせ、ほてり(ホットフラッシュ)、急な発汗、冷え
精神的な症状
イライラ、気分の落ち込み、不安感、意欲の低下、不眠
身体的な症状
疲れやすい、頭痛、肩こり、めまい、関節の痛み、動悸
当院からのアドバイス
症状がいくつも重なると「自分がおかしくなってしまったのでは…」と不安になるかもしれませんが、それはあなたのせいではなく、ホルモンの変化によるものです。適切なお薬やケアで、症状を劇的に和らげることができます。
02
閉経後の「老年期(熟年期)」:これからの健康を守るために
閉経を迎えた後の老年期は、女性ホルモンの守りがなくなるため、これまでとは違った健康リスクやからだの変化が現れやすくなります。
注意したい変化とトラブル
骨粗しょう症の予防
女性ホルモンが減ると、骨がもろくなりやすくなります。早めの骨密度測定と対策が大切です。

生活習慣病のリスク増加
コレステロール値が上がりやすくなり、高血圧や動脈硬化のリスクが高まります。

デリケートゾーンの乾燥・尿トラブル
膣の乾燥や、それによるかゆみ・痛み、あるいは尿漏れや頻尿(GSM:閉経関連尿路生殖器症候群)といったお悩みが増えます。

これらの症状も、産婦人科で適切に治療・管理をすることで、生き生きとした毎日を維持することができます。
03
当院で行っている主な治療・ケア
患者様おひとりおひとりの症状の強さ、ライフスタイル、ご希望に合わせて最適な選択肢をご提案します。保険診療だけでなく、からだに優しい自費診療・セルフケアアイテムも取り扱っています。
保険診療による主な治療
ホルモン補充療法(HRT)
減少した女性ホルモンを少量補う治療です。ほてりや発汗には特に高い効果を発揮し、骨粗しょう症の予防にもつながります。

漢方療法
体質や「冷え」「イライラ」などの症状に合わせて処方します。マイルドにからだのバランスを整えたい方に向いています。

更年期の不調に寄り添う漢方薬。あなたの体質に合わせた「三大漢方」の見分け方と選び方
「人によって異なる、いくつもの不調」に対して、体全体のバランスを整えながら優しくアプローチできるのが漢方薬です。今回は、更年期治療でよく使われる代表的な漢方薬とその選び方について分かりやすく解説します。
なぜ更年期の不調に漢方薬が効くの?
西洋医学(一般的な病院の薬)では、「のぼせにはこの薬」「イライラには精神安定剤」というように、一つの症状に対して一つの薬を出すのが基本です。
一方、漢方医学では、人間の体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つの要素が巡ることで健康が保たれていると考えます。更年期はこのバランスがドミノ倒しのように崩れやすい時期です。
漢方薬は、足りないものを補い、滞っているものを巡らせることで、体全体のバランスを整え、あなた自身が持つ「自然治癒力」を底上げすることを目指します。そのため、一つの漢方薬で「のぼせ・イライラ・肩こり」がまとめて改善することも珍しくありません。
更年期障害の「三大漢方薬」あなたに合うのはどれ?
婦人科の更年期外来で特によく処方される、代表的な3つの漢方薬です。漢方では、症状だけでなくその人の「体質(体力の有無、冷えの有無など)」に合わせて選びます。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
体質の目安
体力は中等度以下(疲れやすい)、どちらかと言えば華奢なタイプ
主な症状
イライラ、不安、情緒不安定、不眠
ホットフラッシュ、急な発汗
解説
更年期のファーストライン(最初の一手)として最も有名なお薬です。ストレスや自律神経の乱れによって滞った「気」を巡らせ、高ぶった神経を鎮めます。メンタル面の症状が強く出ている方に特に適しています。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
体質の目安
体力がなく疲れやすい、冷え症、貧血気味、色白でむくみやすいタイプ
主な症状
手足の冷え、むくみ、めまい、頭痛、肩こり、動悸
解説
足りない「血(栄養)」を補って体を芯から温め、滞った「水」の排出を促します。血行を良くして水分代謝を改善するため、冷えとむくみに悩む女性の強い味方です。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
体質の目安
比較的体力があり、顔色がよく、がっちりしたタイプ
主な症状
顔はのぼせるのに足元は冷える(冷えのぼせ)、
激しい肩こり、頭痛、生理痛、しみ
解説
滞った血液(お血:おけつ)をサラサラと巡らせる、血流改善の代表格です。上半身に熱がカッと昇るような、強いホットフラッシュや、ガチガチの肩こりに悩む方に適しています。
【ひと目でわかる】体質と症状の比較表
ご自身の体質や、一番つらい症状と照らし合わせてみてください。
漢方薬名
向いている体質
一番楽にしたい症状(ターゲット)
加味逍遙散
体力がなく、精神的にデリケート
イライラ・精神的な不安、のぼせ、発汗
当帰芍薬散
寒がりで、貧血・むくみやすい
手足の冷え・むくみ、めまい、頭痛
桂枝茯苓丸
比較的元気で、赤ら顔になりやすい
顔ののぼせ(ホットフラッシュ)、強い肩こり
漢方薬を正しく、安全に服用するために
飲むタイミングは「空腹時」がベスト
原則として「食前(食事の30分前)」または「食間(食後2時間後のお腹が空いているとき)」に、ぬるま湯かお湯で服用します。このタイミングが最も成分を吸収しやすいためです。
※胃が弱い方は食後の処方に調整することも可能です。
効果が出るまでの期間
ホットフラッシュやイライラなどの症状は、早ければ数日から数週間で変化を感じる方もいます。一方で、冷え症や体質の改善、根本的な体調の底上げには、2〜3ヶ月ほどじっくり飲み続けることが一般的です。
医療用漢方薬は「健康保険」が適用されます
ドラッグストアでも漢方薬は購入できますが、病院(婦人科など)で処方される医療用漢方薬は健康保険が適用されるため、費用を抑えて治療を続けることができます。また、医師が診察した上で処方するため、ご自身の体質(証)にぴったり合ったものを選べるメリットがあります。
あなたの毎日に、心地よい巡りを
更年期の不調は、「我慢が足りないから」でも「気のせい」でもありません。体の中のバランスが一時的に揺らいでいるサインです。
漢方薬は、その揺らぎを優しく、本来の正しい位置へと戻すお手伝いをしてくれます。
当院では、丁寧にお話を伺い、あなたの今の体質や症状に合わせた最適な漢方薬をお選びいたします。また、症状が強い場合には、ホルモン補充療法(HRT)など西洋医学の治療と組み合わせた柔軟なアプローチも可能です。
プラセンタとエクオール(自費診療・窓口販売)
「ホルモン治療には少し抵抗がある」「毎日の生活をさらに元気に行動したい」という方のために、以下のケアもご用意しております。
プラセンタ注射(メルスモン)
ヒトの胎盤から抽出された、アミノ酸やビタミン、ミネラルが豊富な栄養成分のエキスです。自律神経の乱れを整え、更年期特有の不調(のぼせ、イライラ、肩こり、疲労感など)を和らげる効果が期待できます。さらに、肌の調子を整える美容効果も期待できるため、多くの女性に喜ばれています。

保険適用について
45歳〜59歳で更年期障害と診断された方は、保険適用で注射を受けていただくことが可能です。それ以外の年齢や目的(美容など)の場合は自費診療となります。
現在のところプラセンタ注射を一度でも受けると、それ以降は献血ができなくなります。これは、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)などの感染症伝播のリスクを「理論上、完全にゼロにはできない」という安全上の措置です。(※過去に国内のプラセンタ注射で感染した例は一度もありません。)
エクオール(サプリメント)
大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されることで生まれる「エクオール」は、女性ホルモン(エストロゲン)とよく似た働きをしてくれる成分です。 実は、このエクオールを体内で十分に作れる日本人は「2人に1人」と言われています。サプリメントで直接補うことで、ほてりの軽減、首や肩のこりの緩和、手の関節の痛みのケア、骨の健康維持などをサポートします。お薬に頼りたくない方のファーストステップとしても非常におすすめです。当院では医療機関専売品を取り扱っています。

最後に:これからの時間を、もっと笑顔で過ごすために
「病院に行くほどではないかも」と思うような小さな不調でも、どうぞ遠慮なくお聞かせください。私たちは、あなたがこの先の人生も健やかに、美しく重ねていけるよう、いちばん身近なパートナーとして寄り添い続けます。
